中央大学のインハウスロイヤー法実務カウンセルを担当し、中央大学応援団のOBOG会幹事長でもある弁護士の櫻井俊宏です。
中央大学出身経営者の交流会「南甲倶楽部」にも所属しており、南甲倶楽部の会報に私の応援団時代から弁護士としての活動についてのコラムを掲載していただいたので、以下にご紹介させていただきます。
当時のことを赤裸々に語っておりますので、お読みいただければ嬉しいです!
中央大学の応援団員として4年間、全力で活躍していた櫻井俊宏氏。
現在、弁護士事務所を経営するかたわら中央大学の法律顧問と法曹会副会長も務めている。
応援団で培った体力・忍耐力・統率力とスピード感をもって悩みを抱える人々の問題を解決する体育会系弁護士だ。
中央大学南平寮での勉強はベッドの中
高校時代から「火曜サスペンス劇場が好きで、事件ものに興味があったんです。それで、警察官になりたいなと。ところが親が危険だからやめなさい(笑)、弁護士という仕事もあるよと言われたのです。というわけで弁護士を目指して法学部に入学。体育会系の部に入りたいと、キャンパスを回っていたら学ランの人に声をかけられたんです。
そもそも僕は、大学受験の時に堪え性がないというか、黙々と勉強を続ける力が弱いなあと感じていたんですよ。応援団に入ったら精神力が鍛えられるかも。司法試験を受験するにしても鍛え直した方がいいと思って入部しました。
同時に法職講座を受けようと思っていたら、いつの間にか締め切りが過ぎていた(笑)。踏み外したなと。それからというもの、司法試験の勉強どころか授業すらほとんど出られなかったくらい応援団に打ち込んでいました。
2年半ばからは、南平体育寮に入ったのですが、ほとんどの体育連盟の部員が入っていますでしょう。勉強できる雰囲気ではない。少なくとも3年半ばまでは、勉強らしい勉強はしていなかったです。
それではいけないと、早稲田セミナーで一講座だけ受けて、ちょこちょこ自分で基本書を読んで勉強していたのです。だけど、南平寮は6畳に4人。机は4年生が占領して3年生以下はベッドの中だけが自分の居場所です。ベッドのカーテンを閉めて勉強していたんです。
だけど、応援団は、他の部とのつながりが一番多いので部屋に戻るといつも宴会がはじまっている(笑)。
ポテトチップスに当時流行った発泡酒で一晩中飲み明かしました。ひどい時は、朝の10時まで飲んでいましたね。
最終的には、4年生で応援団副団長になりました。そうなると、応援の最後の校歌や応援歌を指揮する役です。4年で授業もなく、日中少しは勉強できました。でも、夜は相変わらず飲み会がはじまる(笑)。
そんな状況でしたが、応援団をやれてよかったです。まず、体力がつきました。今も他の弁護士にエネルギー量では負けません。弁護士って、ある意味喧嘩代行ですから。あと、拍手を30分くらい続けるので、その姿勢を保つために大きな石を両手に持ってずっと「おーりゃおりゃおりゃ」と大声を出す。この練習は、僕が苦手とした忍耐力が鍛えられ、司法試験の勉強に役立ちました。それから、チアリーダーやブラスバンドを合わせて50人ほどを自分の頭で考えて統率していく力も身につきました。この統率力は、今も自信あります。
独立して弁護士法人事務所を開設
大学を卒業した直後は、司法試験の世界になかなか入りづらかったです。応援団で酒を飲んで、ただれた生活をしていましたのでね。しばらくは勉強が手につかなかった。そんな時、ある友人と勉強するようになって、これがよかった。3年目にギリギリですが、1次の短答式試験に合格しました。
その後は、卒業生向けの法職講座のある市ヶ谷研究室通称市研(イチケン)に入りました。友人ができて安く講座を受けられ、逆に法職講座を取っている現役生の講師としてバイトもできました。すごくありがたかったです。結局、イチケンには、2年ほど行っていました。その間に新司法試験制度ができたので、法科大学院に入ったんです。司法試験に受かったのは、学部を卒業して6年目の2007年でした。
合格後は、弁護士事務所に入所し、その半年後には支部長として新宿支部を任されました。
その後、独立してアズバーズ総合法律事務所を開設。中心となる分野は、身近な問題が多く、交通事故、離婚、相続等です。僕は、事件的なこと、特に勝つか負けるかの紛争が得意なんです。例えば、交通死亡事故などで、遺族の方から毎日深夜に電話がかかってきたり、それを精神的にケアするエネルギーは半端じゃないです。自分しかできないなあと自負しています。または、不倫された女性の離婚問題など被害者側依頼者の感情に共感する、寄り添うことは苦手ではないです。
事務所開設から3年後に法人化しました。当初、吉祥寺に本部を置いて、ホームページ(HP)で事務所の紹介に力を入れていたんですね。すると、HPからのお客さんが日々増えていくのです。
一方で、吉祥寺から新宿に移転しましたが、紹介はあるもののHPからの依頼はほぼありません。ということは、郊外は弁護士が不足しているのではと予測。そこで、都心に出るにはJR青梅線一本しかない青梅に目をつけたのです。青梅の人は青梅で完結するだろうと考えて、青梅市内の弁護士数や人口数を調べたんです。で、いけると判断して青梅事務所を開設しました。その際、撤退もあり得るので賃貸を5万円のマンション一室からはじめたというわけです。
僕は、ここを試験的に考えていたので「パイロットファーム・プロジェクト」と名付けました。今、1人の弁護士が担当していますが、月に4、5件の新しい事件が入ります。離婚と交通事故が多いです。新宿から千代田に事務所を移し、僕は千代田事務所にいます。
駅伝オンライン企画をつくり、コメンテイターを担う
2013年から中大の法律顧問として法実務カウンセル(インハウスロイヤー)に就きました。教職員が業務上で抱えた契約、労働、知的財産、学生関係等の法律問題の相談に対応しています。嘱託職員として、週2、3日、9時から17時まで多摩キャンパスに通っています。
この仕事に就いたのは、副学長で応援団部長だった佐藤信行先生に声をかけていただいたからです。6人ほど候補者がいたらしいのですが、面接の結果、経験者がいいかもということのもあり、僕を選んでもらいました。この時にはじめてカウンセルができたので僕が初代になります。
そもそも4年間、応援団に夢中だったことで中大愛が深まり、中大のためにまる仕事があったらいいなと思っていたのです。願ったりかなったりのお役目でした。
その翌年、応援団の助監督に就任しました。司法試験祝賀会、白門ライオンズクラブ、港区や新宿区の白門会などで、今でも学ランを着て年に15回ほどエールを送っています。
一方で、僕は駅伝好きなので、1人でユーチューブに駅伝応援予想をちょっとあげていたんですね。後に、元駅伝部主将の関口康平君も加わり一緒にアップを続けていたんです。それがたいへん好評でした。すると、中大のスポーツ振興・強化推進室の方から、Webex※1で中大に特化した実況をしてもらえないかという相談を持ちかけられました。
それを実現させたのが「駅伝オンライン応援企画」です。現役大学生やOBなどにあらかじめ申込・登録してもらい、実況解説をお届けするというものです。現地と繋いだりもします。コメンテーターは関口君と僕が担当しています。
2021年から箱根駅伝で実施して、登録者は5、600人にも上りました。予選会、箱根、出雲、全日本ともう7回行っています。この企画は、大学スポーツの振興に取り組む一般社団法人UNIVAS(ユニバス)から賞をいただいたそうです。実に嬉しいです。
もうひとつ、2022年には箱根駅伝のコメンテーターとして、千葉の京葉白門会に呼んでいただき講演をしました。活躍の場が増えて、これもたいへんありがたかったです。
※1 オンライン会議用のツール。Zoomより高画質で通信の安定性に優れている。
SNSで弁護士業と中央大学を盛り上げる
2021年から中大法曹会副会長を勤めています。中大のために尽力できる仕事をしたいと考えていますし、非公認ながら広報的な位置づけでいられればいいなと思っています。まあ、できればですが、経営にも参加したい。中大が早慶よりも上になって「中早慶」と呼ばれるようになると最高ですよね。
僕は、フェイスブック、インスタグラム、ツイッター、ユーチューブなど主要なSNSで情報発信をしています。今後も、SNSを活用して新しいこと、例えば「オンライン応援企画」のようなことにドンドン挑んでいきたいです。
弁護士業に関しては、今の世の中危険が多いということに気づいていない人が多すぎると思うのです。例えば、結婚詐欺やポンジスキームなど詐欺に該当するか否か微妙なケースがありますので、こういうシーンは危険ですよ、という啓発活動をしたいのです。あるいは、SNSの誹謗中傷やパワハラ等、賠償請求をする際にも録音なり録画で証拠を残すことを奨励しています。
話は、ちょっと変わりますが、ラーメンの聖地の1つである高田馬場で勉強をしていた頃、ラーメンを食べまくっていたんですね。ロースクール時代も体力づくりのために毎日、保谷から市ヶ谷までクロスバイクで通っていて、その道中でもラーメン。今でも、裁判所や警察署に行った帰りにラーメンと、おそらく約2500店のラーメンを食べています。そこで、インスタグラムで「ラーメンソムリエ弁護士」としてラーメンの写真だけでなく店名とコメントも投稿しています。多くの人に「ラーメン好きで庶民的な弁護士」と認識していただけたらいいな、相談しやすいだろうなとの考えからでもあります。
このように、これからもSNSを大いに活用して中大の特にスポーツ関係に力を入れていきたいです。また、問題を抱えた市井の人々を力強く応援していきたい。
これが僕のパッションなのです。
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