コロナの影響下において家賃を下げるには【弁護士の賃貸借家賃交渉術】
中央大学法実務カウンセル(インハウスロイヤー)として中央大学の法務全般を担当している,新宿・青梅・あきる野の弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
コロナの影響下,事業者は事業を続けていくため,一般の方は生活を維持するため,家賃交渉をしなければならない状況が増えているようです。
この現状においてどのように交渉していけば成功しやすいかを,通常の家賃を下げる方法と合わせてお話していきます。
1 一般的な家賃の下げ方
まず,交渉して,大家(賃貸人)に納得してもらえれば,家賃を下げることは可能です。
この場合,「覚書」として,簡単にでもいいので,
「~月から賃料を○○円とする。」
という内容を記載し,日付を入れ,両者の住所・氏名を記載し押印しましょう。
2 交渉がうまくいかない場合 まずは内容証明郵便
交渉がうまくいかない場合は,一般的には,内容証明郵便で相手方に,例えば
「現在賃料は30万円ですが,20万円が適正なので,賃料20万円に変更することを請求します。」
というような書面を送ります。
これだけでは,当然賃料が☓☓円には変更されないので注意してください。
逆にいうと,賃貸人が一方的に「〇〇円に賃料を増額します。」と通知してくることも良くありますが,それだけでは増額になりません。ご安心ください。
3 裁判所の手続
この後,裁判所にまずは賃料減額請求の調停という手続を申し立てます(借地借家法26条の2)。
調停委員という2人の専門家が裁判官をサポートし,両当事者から意見,事実関係を聴きつつ,専門的な観点から,話し合いにより,両者の合意を目指す手続です。
両者が合意できない場合は,賃料減額請求の裁判を提起することになります(借地借家法32条)。
この裁判内で20万円が裁判所の判決で適正ということになれば,内容証明郵便を送った時点から20万円という新しい賃料に変更されたものとして計算されることになります。
4 コロナ下で交渉をする場合はどのように行うか
コロナの影響著しい現状において,賃貸人も賃借人が出ていった場合,他の人を探せるか不安なわけです。
他の人を探せるまでの数ヶ月間家賃が入らないぐらいなら,少しぐらい賃料を減らした方がいいと考えさせることができれば良いのです。
このことから,本当に
「出ていく気もある。」
という雰囲気を持って交渉にのぞみましょう。
もし単純に下げてもらうことが難しいのであれば,
「~月までで良いから,○○円にしてもらえないでしょうか。」
と交渉をしましょう。
ずっと下がったままでは賃貸人も嫌でしょうから,期間を限定すれば,下げてもらえる可能性もあるわけです。
コロナの影響が長引きそうであれば,また交渉すると良いでしょう。
5 建物明渡は大変な手続
もし,不払いになっても居座られると,賃貸人が建物明渡を強制的に行うのはなかなか大変です。
明渡請求訴訟を行い,強制執行という手続もしなければならないわけです。
少なくとも終わるまで半年はかかりますし,少なくとも弁護士費用も入れると100万円ぐらいは費用がかかります。
このことを念頭において,賃貸人も「不払いになって居座られたら困るな」と思っていうことを念頭において交渉すると,よりやりやすいかと思います。
6 まとめ
また,もう1点として,交渉をしてある程度関係がこじれたからといって,強制的に明渡を受けることもありません。
このことも念頭において,
「減額の請求をするのは権利である。」
ぐらいの意識をもって,気軽に交渉してみると良いと思います。
周りでも,今回の件で,結構減額に成功している例は見られています。
弁護士 櫻井 俊宏
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